なんと素晴しきこの世界

「キスしていい?」

そう聞けばは必ず少し照れたような顔をする。
もう何度も聞いているのに、慣れないのかそのたびに頬を赤く染めるんだ。

「なんでそうやって聞くの?答えなんてわかってるじゃない」
「万が一嫌がられたら困るからね」
「じゃあ嫌って言ったらしないの?」
「どうだと思う?」

答えが出てこないのか、は溜め息をつくだけ。 僕はもう一度「キスしていい?」と聞いた。は赤くなった頬を隠すようにそっぽを向いて「嫌」と答える。
それでも構わずに自分の唇を彼女のそれに合わせると、ムスッとした表情で「…嫌って言ったんだけど」と言われた。

本気で嫌がってたら、もちろんしない。でも、には言葉以外嫌がる素振りなんてない。
それなのにしないなんておかしいだろう?


「キスしていい?」とわざわざ聞くのは、嫌がられたらっていうのもあるけど、本当はのその照れた顔が見たいだけ。
だから僕は何度だって聞く。



「キスしていい?」








「キスしていい?」

白馬はたまにそう聞いてくるのだけど、聞く意味なんてあるんだろうか。
ここは白馬の部屋で、私と白馬以外誰もいなくて、私たちはケンカしてるわけでも何でもなくて、この状況でわざわざ断りを入れられても困るのは私なんだ。

「なんでそうやって聞くの?答えなんてわかってるじゃない」
「万が一嫌がられたら困るからね」
「じゃあ嫌って言ったらしないの?」
「どうだと思う?」

そんなこと聞かれたって、わかるわけないのに。
溜め息を一つつくと、白馬は改めて「キスしていい?」と聞く。
試しに「嫌」と言ってみたけれど、次の瞬間私の唇は奪われる。

「…嫌って言ったんだけど」
「本気で嫌がってるかどうかくらいわかるよ」


やっぱり聞く意味なんてない。だって私が本気で嫌がることなんてありえないじゃない。








08.08.29