上に乗るのは得意ではない。私の体力ではすぐに疲れてしまうし、正直うまく動けてる気もしない。そう、つまり得意ではないと言うのは、言葉の通り得手不得手の話だ。
好悪の話なら、嫌いではない。特別好きとまでは言わないけれど、零の顔が視界にあるのは安心感があるし、深い繋がりも心地いい。だから最中に零に求められれば特に抵抗なくその体勢になる。
「あ……っ」
自分が動くたびに零のものが中で擦れる。この体勢だと自重で深くまで当たるから、いつもより強い快感が走る。声を漏らしながら下を見れば、少し息の上がった零がほのかな笑みを浮かべてこちらを見ている。その笑みは余裕の笑みと言うより、穏やかで温かな、見守るような瞳だ。
「零……っ」
零に手を伸ばすと、彼は躊躇いなくその手を握った。指と指を絡めた恋人のつなぎの格好だ。行為の最中にこのつなぎ方をするのが、私はたまらなく好き。体だけでなく心も繋がったことの象徴のように思えるから。
零のあいているほうの大きな手が私の腰を撫でる。上下に滑る動きがやたら扇情的だ。つられて私の動きも激しくなってしまう。
「あ、あ……っ!」
唇から溢れる声を抑えることもできずに、ただただ快感に身を任せる。頭の中が零のことだけでいっぱいになっていく。
「ああ……っ」
今までで一番大きな快感が走る。全身が痙攣したように震えた直後、がくんと力が抜けて零のほうへ倒れ込んでしまう。
「大丈夫か?」
「ん……」
零の上に寝転がる格好のまま、浅い息を整える。零の指が私の髪を撫でる感触が心地いい。
私の中に入ったままあの零のものはまだ硬く脈打っているのが感じ取れる。こんな途中で動きを止めて、零は焦れったくないのだろうか。そんなことを考えるけれど、私を撫でる零の手は穏やかで、私が落ち着くのを待ってくれているのだろうことが伝わってくる。
上に乗るのは得手不得手の話なら得意ではないけれど、好悪の話なら好きだと思える。零の顔が視界にあるのは安心感があるし、深い繋がりも心地いい。それになにより、この時間が、
「好き……」
ぽつりと言葉が漏れてしまう。それほどまでに、この優しい時間が好き。この優しい時間を作ってくれる、零が好き。
零は触れるだけのキスをした後、温かな声で私の名前を呼ぶ。そしてもう一度、二度、三度とキスを繰り返し。
「続き、するか?」
「ん……」
零の言葉に応えるように、今度は私からキスをする。
零は一度繋がりを解くと、くるりと私と零の場所を入れ替える。私の上に乗る形になった零が、耳元で囁いた。
「愛してる」
甘い声色に、心に温かな痛みが走る。どうしよう。幸せで、溶けてしまうかも。
とける
21.06.05
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