別に何があったわけでもないのに、何となく泣きたくなる。そんなことってありませんか。
今私はまさにその状態で、何が嫌になったのか、悲しくなったのか、なにもわからない。
強いて言うなら、全部が全部嫌になったというか。
そんな感じで、今、屋上の隅で一人泣いている。ここなら、この時間、誰も来ないはず。
「…さん?」
「…白馬?」
誰も来ないはず、という希望はあっさり打ち砕かれた。
今、私の目の前にいるのは同じクラスの白馬探である。
別に仲良くもない彼に泣き姿を見られるのは嫌だ。
何でよりによって彼なんだ。全く知らない人に見られるなら構わなかったというのに。
私と白馬は10秒位目を合わせた後、白馬は空を見上げた。
「すみません、すぐにいなくなりますから」
「あ、ちょ…」
いなくなる、ということに安心したはずなのに、何を思ったのか、私は白馬の制服の裾を掴んでいた。白馬も目を丸くしてこちらを見ている。
どうせ見られたなら、話を聞いてほしい、とでも思ったのか。自分で自分の心理がわからないけど、無理矢理そう思うことにした。
「あの、さ。話を聞いてくれない?」
「ああ、なるほど。僕は別に構いませんよ」
話といっても、さっきも言ったように、別に理由があって泣いているわけじゃない。
だから、何を話せばいいのか…仕方ないので、そのまま話してみた。
「そう、よかった」
「よかった?何が?」
「さんに何かあったのかと、少し不安になっていたんですよ」
くす、と笑う白馬を目にしたとき、私の目から涙はすでになくなっていた。
「これからも、泣きたくなったら言ってください。一人で泣くより、きっといい」
「…そういうもんかな」
「ええ、さんはすぐ一人で抱え込んでしまいますからね」
「え?そう?」
「やはり自覚なしですか…。きっと、今日泣きたくなったのも、自分の許容量をオーバーしてしまったためでしょうね」
「…?」
「わからないならそれでいいんです。泣きたくなったら、僕を呼んでくれればそれでいいですから」
白馬はそう言って私の髪を撫でた。正直白馬に言われたことに対してやっぱり自覚はないし、どうすればいいのかもわからない。
だけど、これからは少し白馬を頼ってみようか。
どうして白馬に話を聞いてもらおうと思ったのか、少しわかった気がした。
涙は闇に溶かしましょう
08.04.07
title/tv様より