のどこが好きかと聞かれれば、もちろん全部なんだけれど、好きになったきっかけというか、一番好きなところは「自分の足で立っている」だった。
彼女はいつだって自分のことは自分でしてしまう。人に頼られることがあっても人を頼ることはほとんどない。
たとえ世界で彼女ひとりだけになっても、生きていけてしまいそうな。
「まさか。世界でひとりになったら、いくらなんでも生きてけないよ」
は少し笑いながらそう言った。
生きていけない。それはどういうふうに?電気がない、ガスもない、食べ物がない、そういった意味で?
「そうじゃないよ」
「ならどういう意味?」
「探がいなかったら、私は生きていけないの」
探なら知ってるしょう?の顔にはさっきと同じ微笑みがある。
「知ってるよ、だって僕がそうさせたんだ。僕なしでは生きていけないように」
「自分の足で立ってる私が好きなんじゃないの?」
自分の足で立っている君が好き。だけど、君のことを僕なしで生きていけないようにしてしまいたい。
人間の感情はいつだって矛盾してる。
無限パラドックス
08.08.04