今日は学校が終わってから、そのまま白馬の家へ来た。
それ自体はよくあることで、何度もこの部屋に来ている。
いつもは普通にお茶を飲みながら他愛もない話をしたり映画のDVDを見たり、
まあそんなことばっかりしてたわけだけど、今日は何かが違ってて。
私はベッドの上に寝る形になり、その上に白馬がいて。
つまりは押し倒されているわけで。
「あ、あの…白馬くん?」
「何?」
「な、何がどうなってこうなってるの…」
さっきまで普通にお茶を飲みながら話してただけのはずだ。
その最中、本棚にある映画雑誌が気になって、「読んでもいい?」と聞いてその雑誌を取ろうとした。
そして自分の足につまずくという失態を犯し、私を支えようとした白馬も一緒にバランスを崩して…
と、まあ、どこの少女マンガだよという展開でこの体勢になった。
最初は白馬もすぐにどいてくれるだろう、と思っていたけど動いてくれず、今に至る。
それどころか段々顔が近づいているような…
「ちょ、ちょっと待って!一瞬、一瞬でいいから!」
そう言って白馬の口を右手で抑えて、とりあえずこの状況を脱出する術を考えた。
しかしいい策は一向に浮かんでこない。
そもそも私が白馬に口で勝てるなんてありえない話だ。
「もう一瞬は過ぎたよ」
「うわああああ待って待って!いろいろ待って!」
白馬の顔がまた少し近づいて、いよいよ身の危険を実感して慌ててその場から動こうとしたけどうまく動けない。
「待てないよ」
「そこをなんとか!」
「もう、ずっとずっと、待ってたんだよ」
そう言った白馬の顔は少し寂しそうだった。
待ってた、と言われてもこっちは何がなんだが。
「ずっと、に触れたいと思ってた」
白馬の顔は真剣で、思考が止まる。
「待って」という言葉も出ないまま、少しだけ沈黙が続いた。
私と白馬が付き合い始めてずいぶん経つ。
あまり表に出さないから忘れがちだけど、白馬だって男なんだからそういうことをしたいと思うのは当たり前だろう。
だけど白馬がやさしいのを良いことにそれとなく避けて来たけどもうそれも終わり、ということなんだろうか。
「あの…」
「、本当は嫌じゃないんだろう?」
え、と言う言葉と共に身を固める。
嫌じゃないって、嫌じゃないって、嫌じゃないって。
確かに私は白馬が好きで、大好きで、素直に言ったりすることはほとんどないけれど、
好きだから、確かに別にいいと言うかなんというか
本当に嫌なら部屋で二人きり、なんて状況になろうとも思わないわけで
だけど女の子がそんなこと言うのはしたないというか
いっそ強引にきてくれたら、なんて思ってたなんてそんなことは
ああ、ダメだ。
パニック起こしてうまく頭が回らない。
固まっていると、白馬が私に耳に口を寄せて、
「今日は離れてやらないよ」
今日は離れてやらない
11.04.15
title/恋したくなるお題様