キスしていい?って聞いたらどうぞ、って言われた。だけど背伸びをして私の唇は探のそれに届かない。足をトゥシューズでも履いてるかのようにぴんと立たせてみるけど、そうしたって届かない。
「どうぞって言ったんだから、少しくらい屈んでくれてもいいんじゃない?」
そう言っても探はいつものように微笑むばかりで、一向に私にキスを許そうとしない。さっきの「どうぞ」は嘘で、本当はキスなんてさせたくないんじゃないんだろうか。私からキスなんて、この先10年経ってもないのかもしれないのに。
「何でキスさせてくれないの?」
「ああ、ごめん。からキスなんて、中々ないからね。少し、キスしようと頑張る君を見てたくて」
何バカなこと言ってるの、と睨んでみたけど効果はないようで、探は相変わらず笑ったまま。その上、私をなだめるように大きな手で私の頭を撫でる。その手を払ってみても、探の顔は余裕の笑顔。
「私からキスなんて、もう二度とないんだから」
「本当に?」
「さっきのがラストチャンスだったの」
本当に、そうなのかい?と言いながら、探は少し、屈んでみせる。ちょうど、私がキスできるぎりぎりの高さ。優しく微笑みかけられれば、もうお終い。探は私がその顔に弱いことを知っててやってるんだから、たちが悪い。
「これが最後なんだから」そう言って、また背伸びをして、自分の唇を探の唇に軽く触れさせる。
「からのキスなら、いつでも大歓迎だよ」
「だから、これが最後だって」
したくなったら、いつでもどうぞ。なんて人の話聞いてないでしょ、と言いたくなるようなセリフを吐いて、今度は探からキスをする。
私がもう一度トゥシューズを履くのはそんなに遠くないのかもしれない。<
トゥシューズから口付けを
08.03.04