言葉にしないけどわかってよ

白馬はよく私のことを好きと言ってくる。それ自体は恥ずかしいけれど、嬉しい。
だけど、困ったことがひとつだけ。その言葉にはいつも続きがあるのだ。

は?」

ああ、ほら、またこうやって聞いてきた。
私は答えられるはずないってことを、いい加減にわかってほしい。
それともわかって言っているんだろうか。

「また答えてくれないのかい?」
「……答えなんて、わかってるでしょ」

私と白馬は恋人同士というやつなのだ。
だから言わなくてもわかるだろう…と、いつもそうやってどうにかかわしている。
けれど、今日ばかりはそうも行かない様子。

は僕に好きって言われて嬉しくない?」
「…それは、その、嬉しいけど」

そりゃ、好きな人に好きと言われれば嬉しいに決まってる。
…ああ、そうか、そういうことか。

「僕だってに好きだって言ってもらいたいんだよ」

白馬が私を好きなことなんて知っている。
だけど、それでも直接好きだと言ってもらえればそれはとっても嬉しいことなわけで。

だからと言って、言えるか言えないかとは別の話だ。

「……無理!やっぱり無理!言えない!」
「どうして?」
「だって恥ずかしいじゃない!」

さらっと「好きだよ」なんて言ってくる白馬にはわからないだろうけど、私が白馬を好きだと言うのにとんでもない労力を要するのだ。
たかが二文字。なのにその二文字に意味を込めるだけでこんなにも恥ずかしくなるなんて。

「………」
「………」

白馬はまだ期待をしているのか、私をじっと見つめてくる。
だけど無理なものは無理。私は白馬を見つめ返した。

「しょうがないなあ」
「…わかってくれた?」

小さい声で「ごめんね」と呟いた。
私だって、言えないこと、申し訳ないと思っているのだ。

「いいよ、今は」
「今は?」
「そのうち絶対、言ってもらうからね」

白馬はそう言って私の唇に指を添えた。
ああ、本当に言える日は来るんだろうか。














言葉にしないけど分かってよ
09.10.17



title/恋したくなるお題様