ハッピーエンダー

高校も二年生にもなると。将来の夢は何かと聞かれることが多くなった。
正直なところ、そんな話はしたくない。なぜなら将来の展望なんて私には一切ないからだ。

夢を持つことは素晴らしい、その夢を叶えるためにどこの大学に行きたいか、専門学校に行くか、はたまた就職するかを決めなさい。
直接言われたことはないけれどほとんどの大人たちは今の私たちにそれを望んでる。
そのプレッシャーが私には本当に重くて、夢がないことにやたらとコンプレックスを感じるようになってしまった。

私以外にも、私と同じような悩みを持つ子はたくさんいるのはわかってる。
そして、私の最大の欠点は悩みすぎてしまうということだっていうことも。



「白馬はいいよね、ちゃんと将来の目標とか決まってて」

何ともなしに言ったその一言に、白馬は眉をひそめた。
自分でも言った後、「やばいな」とは思ったけれど、言葉を発した後にそんなことを思ってもどうしようもない。

「まあ、いいこともあれば、悪いこともあるよ」

少し突き放したように白馬は言った。そりゃそうだ。将来が決まってる人は決まってる人なりにいろいろあるんだろう。

「いや、あの、ごめん。そういうのが言いたかったわけじゃなくて」
「わかってるよ、大丈夫」

もう白馬の言葉にはさっきのような棘はなくて、ホッと胸を撫で下ろした。
白馬はなんだかんだで私に甘いのだ。今もそうだし、今までだってそう。
そうやって白馬が甘やかすから、私は将来の夢を決められない。
決められなくてもいいんだって白馬が言うから。

「いい加減、私だってちゃんと決めなきゃいけないってわかってるよ」
「うん」
「でも自分が何したいかなんてわかんないしさ。第一、まだ17年しか生きてないんだよ?そう簡単に死ぬまでのあと70年くらいのことを決められないよ」
「だから、決められなくていいんだよ」
「またそういうこと言う」
「将来の夢なんて、決まってるからいいってものでもないし、決まっていないからって悪いってこともない。そうだろ?夢が途中で変わることもある、50歳でいきなり『夢が出来た』なんていう人だっているんだし、無理矢理決めることはないよ」

白馬はいつもそうやって私に反論をさせないような理論を突きつける。
将来の夢なんて無理矢理決めるものじゃないし、探したからって必ず見つかるものじゃない。
それはわかってるけど、それでもただ焦りだけが積み重なっていくから困る。

「あー…。もう、どうしよう」
「そんなに悩むんだったら、とりあえず好きなことを深めてみたら?それが一番近道じゃないかな」
「好きなこと?」

好きなこと、でパッと思いついたのが白馬の顔だった私はもうどうしようもない。
違う!今は将来の夢に関して考えるべきところじゃないか!

「ちなみに僕はいつでもを迎えられるようにしておくから」

その白馬の言葉の意味がわからずにぽかんとしてしまったけれど、後でわかったときに真っ赤になってしまった。
好きなこと、と言われて私が思いついたのは白馬で、それを将来の夢にするということはつまり、

今の世の中、こんな夢を語ったらバカにされるんだろうけど、きっと白馬は受け入れてくれる。
好きな人のために生きる、悪いことではないよね?








ハッピーエンダー
09.04.13